識字障害の子への対応として、読んでいる箇所をハイライト表示するというものがあります。
こんなふうに。
おじいさんは山へ芝刈りに おばあさんは川へ洗濯に
上記ならば「おばあさんは」を読んでいる、と。
識字障害の人にとってのハイライト表示をするメリット
文字をハイライト表示すると、こうしたメリットがあります。
- 読んでいる文字がわかる
- 文字と音が頭の中で繋がってイメージしやすい
- 文字そのものが見えやすい
なぜ識字障害の人にハイライト表示が良いのか?
読んでいるところをハイライト表示すると識字障害の人は読みやすくなります。
特に「1文字ずつ」読むという「逐次読み」(ちくじよみ)をする子が、「単語ずつ」「文章ずつ」というように1つのまとまりとしてインプットできるようになります。
単語や文章を1まとまりのセットとして記憶するのが良い理由
単語や文章を1セットとして理解するためには、それを何度もみて何度も聞いて頭に刷り込ませることが大事なのです。これは発達障害の子に限った話でもなく、人が言語を理解していくためのステップとして効果的です。日本語を母国語とする人が、英語を覚えるときにアルファベットを覚えた後は、単語を覚え、単語のあとには会話文、言い回しを含めた1文をまるごと覚えるのが良いというのと同じ理屈です。
子どもに限らず社会人なんかでも同じです。仕事上のメールなんかの書き出しで
「お世話になっております」
なんかでもこれで1つのセットとして覚えちゃいますよね。何度もこの字面を読むことでセットで覚えてしまう。慣れていると「お・せわ・に・な・って」というようには読まないでしょう。
サッカーなんかでは英語の中継で見てると凄いゴールシーンなんかでは「ワットァビューティフルゴール!!」と言ってたりします。なんか凄いゴールのときは「ワットァビューティフルゴール!!」なんだな、と一括りで覚える。「What a beautiful goal!」というつづりなんだとか最後には (this is)が省略されている・・・みたいな文法的なのはどうでも良い。
少し話がそれましたね。
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識字障害の療育でも単語や文を1セットで覚えるのは有効
識字障害の療育でも単語や文をまるごと覚えるというのは有効とされています。学校でも支援教室ではDAISYのような読み上げツールを利用して、ハイライトされた箇所+音声+自分で読むという方法で何度も教科書を読むことでスラスラ文章が読めるようになっている事例がたくさん報告されています。
文字が歪んだり捻れて見えるタイプの識字障害には、ハイライトは意味がない?
ただ、私はこう思っていました。
「文字が滲んだりグルグルねじれたりしている子にとっては文字そのものが認識しずらいのだから意味はあまりないだろう」
と。でも、実際にグルグルした画面にハイライトしてみると全然効果あり。
これだと読みづらいですよね。次、ハイライトするとこうです。

http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/access/daisy/event20081101/kouyama.html より
読みやすいでしょう?
ハイライトしていないものだと、どこを見ればよいのか分からないけれども、ハイライトした画像を見ると、見るべき箇所がよくわかる。これなら読めるぞ、と思いませんか?
私はこの画像を見て「あ、ハイライトめっちゃ便利じゃん?」と思いましたよ。
識字障害の人にとってのハイライト表示をするメリット
文字をハイライト表示するのは、健常者が見る以上に識字障害の人にとっては救いになるようです。
以上、文字をハイライト表示すると、
- 読んでいる文字がわかる
- 文字と音が頭の中で繋がってイメージしやすい
- 文字そのものが見えやすい
こうしたメリットがあるというお話でした。
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