世界的にも有名なディズニー&ピクサーのアニメーション。美しいCGや繊細な物語でファンが多いスタジオです。その中で今回ご紹介するのは2003年公開の「ファインディング・ニモ」・2016年公開の「ファインディング・ドリー」に登場する魚「ドリー」です。
このドリー、ADDを公表している栗原類が著書の「 発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由」内で母から「貴方はドリーと一緒なのよ」と説明されたことで自分がADDであることを理解できたという記述があるのです。ドリーとはどのようなキャラクターなのかご紹介します。
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2016年映画「ファインディング・ドリー」で主人公にもなったナンヨウハギのドリー
「私いつもすぐ忘れちゃうの」
その口癖の通り、少し時間が経つと記憶が消えてしまうドリー。落ち着きがなく、妙案を思い付いて意見を聞く前に行動してしまい、他の魚に迷惑をかけることも。
一人息子の「ニモ」が人間に攫われ、必死に追いかける父「マリーン」と出会い一緒にニモを探す旅をするドリー。その忘れっぽい性質と衝動性で周りに迷惑をかけながらも、中々考え付かない発想で困難を乗り越えて最後無事マリーンはニモと再会できました。というのが「ファインディング・ニモ」のお話です。突拍子もないアイデアを思いつくところまでADHDやADDの特性に似ています。もしかして、映画の制作時にADHDの人をモデルにでもしたのでしょうか。
「変わり者」といわれるドリーの性格は?
- 極度に物忘れがひどい:不注意型ADHD?
- 落ち着きがない:多動型ADHD?
- 思い付いたら行き当たりばったりで即行動してしまう:衝動型ADHD?
- その間夢中になってしまい他の事に目がいかない:過集中の特徴?
というのが作中でのドリーの性格です。多動性・衝動性・不注意、とすべてのADHDの特性を持ち合わせています。
ドリーは注意欠陥/多動性障害(ADHD)または注意欠陥障害(ADD) なのか?
「ファインディング・ニモ」や「ファインディング・ドリー」を見るとよく分かるのですが、ドリーは気絶している時以外は動いて、喋ってと全く落ち着きがありません。脳内もひたすら何かを次から次へと考えているために、他の魚の話を聞いていなくてなんとなく気まずい思いをする事も。まぁそれもすぐ忘れてしまうのですが。他の魚が「それは無理だ」という事も衝動性で後先を考えず行動して危機を脱する場面も数多く見られます。
ドリーの物忘れのひどさはADHDだけでなく健忘症も患っている感じ。ただ、ワーキングメモリが小さく、外部衝撃があるとそっちに気を取られすっぽり今までやっていたことを忘れてしまうのはADHDの特徴でもありますね。
ADHDぽいドリーが主人公に抜擢された「ファインディング・ドリー」(ネタバレ注意)
無事ニモとマリーンが再会し我が家に戻った後、ドリーは「自分は両親とはぐれて両親を探していた途中だった」という事を思い出します。そんなことまで忘れてしまうとは・・・。消えそうになる記憶と共にドリーは家族を探しに行くのですが、自分の衝動性・多動性の為に大きな壁にぶち当たり、パニックになってしまいます。
最後は理解ある優しい仲間たちの協力と、ドリーが小さな頃に「忘れても思い出せるヒントになるように」と対処法を何度も習慣化させようと手を尽くしてくれた両親の愛が解決の糸口となり、ドリーは無事両親と再会して今度こそ皆で幸せに暮らしました。発達障害持ちの人が、周囲のサポートや理解を受けて上手く社会生活を送ろうとしているのと通ずるものもがありますね。
作中のニモが言った印象的なセリフがあります。
「こんな時、ドリーだったらどうすると思う?」
父マリーンと2匹、ピンチに陥ったニモがマリーンに言ったセリフです。迷惑をかけつつも次から次へと絶え間なく考えが巡り動き回る、他の魚たちが考えもつかない方面から「無茶だ」と言われながらも解決してしまうドリーをよく理解しているニモだからこそ言える、愛のあるセリフです。
ファインディング・ドリーが公開された2016年は、発達障害という言葉が頻繁に聞かれるようになった時期です。そのためTwitterなどでもちょっと話題になった作品でした。