デイジー教科書(DAISY)というものがあります。
「マルチメディアデイジー教科書」というのが正式名称です。
DAISYは"Digital Accessible Information SYstem"の略称です。日本語に意訳すると「デジタルでバリアフリー的な意味で使いやすいツール」ってところでしょうか。
学校の支援学級では使われているところもあり、支援級の担任の先生なら知っている人もいるのでは。
DAISY教科書は国や省庁が作っているわけではないですし、教科書会社が作っているわけでもありません。いくつものNPO団体などが集まって、DAISY教科書を作っています。
では、デイジー教科書とはなんぞや?どんな子にどんな問題を解決できるのでしょう。というのを紹介していきます。
Contents
デイジー(DAISY)教科書とは?
ざっくり言えば、教科書の内容を音声で読んでくれるツールです。
- 文字を音読してくれる
- 読んでいる場所をハイライトしてくれる
- 文字のサイズを変更できる
- 文字や背景の色を変更できる
- 漢字にルビをふれる
- 文節ごとの感覚(秒数)を変更できる
これらの機能を兼ね備えた電子教科書のようなものですね。
どんなものかはYouTubeとかでも見てみてください。
ハイライトしたほうが読みやすい理由はこんなの↓
デイジー教科書はこんな子にオススメ
- 識字障害の気がある
- 会話自体は問題ない
- 知的な遅れはあんまりない
デイジー教科書ではこんな問題を解決できるかもしれない
- 文字をちょびちょび読む「逐次読み」でする
- やっと読めても内容を理解できてない
- マヨネーズを書いてるのに「マネヨーズ」と読む みたいな間違いをする
要するに読むのがたどたどしかったりだとか、読めても理解がいまひとつな子にとっての救世主的なツールになるかもってことです。読解力がない子なんかにもオススメかも。
デイジー教科書はこんな効果がある
- 単語をまとまりで読めるようになる
- 逐次読みでなく、だんだん早く読めるようになる
- 文章の内容を理解できる
- 文章を使う問題が解ける
- 本を読むのが面白くなる
- 勉強ができる気がしてくる
- 自信がでてくる
自分だけ読めない!自分だけできない!という孤独感
小学校の授業では音読がありますよね。みんなで読んだり一人ずつ順番に読んだり。我が子の順番が回ってきたとき、一人だけうまく読めない。これは辛い。
本人もうまく読めないのを自覚しているし、周囲が読めるのに自分だけが読めない「違い」を感じます。場合によっては周囲からいじめられるきっかけになってしまったりとか。そんな感じだと自尊心はすり減っていくわけですよ。直接的にいじめられなくても「周りと違う」って小学生のときには気にする子多いですよね。単に内面的なものでバレてないなら良いですが、音読すればバレてしまう。孤立や孤独感がイヤ、からかわれるのがイヤ、ということで不登校になってしまったりとか。
じゃあ、どうするのっていうときに使われているのがデイジー教科書。
他の子たちが教科書だけで勉強するのと異なるわけですが、読めないよりはマシ。
DASYを使う子は、支援教室の子だけではないのです。普通学級で一緒に勉強するためにタブレット+イヤホンでデイジー教科書による補助を使いながら音読に参加して授業を受けている子もいます。
上記でも紹介したとおり、デイジー教科書で勉強することで勉強が面白くなったり、読むことが楽しくなるなら断然アリですよね。
さっさと全国で気軽に導入できるようにすれば良いのに、と思ってしまいます。
「文字が読めない」識字障害の子が、すらすら音読できるようになるまでの流れ
教育委員会で発表された事例を読み漁ると、大まかな指導の流れはこのような感じです。
- まずは全文を再生する。
- 内容把握。
- そのときに質問をします。
- それから部分音読。
- それから内容把握。段落ごとに一人読みをして、それから授業を受けます。
識字障害で文字が読めなかった子がデイジー教科書でこう変わる
識字障害もしくは診断を受けてなくてもグレーゾーンな子、音読が苦手だった子が、じわじわと変化していくことになります。
- 読むことへの抵抗感が減った
- 単語のかたまりがわかるようになった
- 文章をまとまりとして読めるようになった
- 漢字を正しく読めるようになった
- 授業での音読時にもつまらず読めるようになってきた。
- 本人から「自信がついてきた」という言葉が出てきた
- 読むことが楽しくなった
教科書を読めるようになった子どもがすごい喜んで、校長室に飛び込み、「校長先生、校長先生、僕の音読聞いて」と飛び込んでいったそうです。
なんて話も。本当に嬉しかったんでしょうね。私もレポートを読んでて泣きそうになりました。
デイジー教科書はどうやれば使えるの?
最初にデイジー教科書利用のための申請が必須
まずはデイジー教科書を使うための申請が必須です。
デイジー教科書の教科書ファイルを手に入れようとすると、申請が必要となります。これが通らないとソフト・アプリを購入しても使えません。申請での記入事項は結構細かい。子どもの名前や学校名、必要な教科書名なども聞かれます。パソコンが苦手だ!みたいな人にはキツイのではないでしょうか。
個人で使いたい場合は下記から申請できます。
デイジー教科書の利用申請ページ(個人向け版)
デイジー教科書の利用申請をしてからソフトを探す
これで申請が通ったらやっと再生のためのソフトを探せます。
デイジー教科書の再生ソフトはこちら
※ソフトだけあっても使えませんからね!要注意です
再生ソフトは、パソコンやタブレットやスマホなどで使えます。ソフトウェアやアプリとして、ダウンロード・インストールできます。
再生ソフトはアプリだと3000円くらい。ただアプリを入れるだけでは使えません。教科書自体のファイルが必要となります。
ソフトは無償のものも有償のものもありまして。※いずれも私は使ったことがないのでどれが良いかはわかりません。
識字障害(ディスレクシア・失読症)で悩んでいるなら試す価値あり
自分の子に合うのかは使ってみないとわからないでしょうが、文字が読めないで悩んでいる子の救世主的ツールになるかもしれません。
「あとで調べよう」ではなくとりあえずでも申請しておいてはいかがでしょうか。
悩む暇があったら進め!です。