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ADHDにフリーランスは向いている仕事といえるか?
ADHDの人はフリーランスになる人も多いようです。
というわけで、ADHDの人が仕事で困ることや、フリーランスになるきっかけ、フリーランスの仕事の現状を年収、仕事内容、仕事の探し方などをご紹介します。
ADHDの人が仕事で恐れる「迷惑をかける」ということ
ADHDのうち「不注意型」の人たちは、悪気なく不注意で人に迷惑をかけてしまうことがあります。
特にミスが許されないような仕事だと、不注意型ADHDの人たちは大変です。
どんなに注意深く気を付けようが、メモを取るなどして対策しようが、いつかどこかでミスをしてしまうのです。
ミスって普通の人(定型発達でADHDとかがない)もするのです。ただ、同じミスを繰り返すことは少ないです。
ADHDの人は同じミスを繰り返しがちです。だから周囲の人に怒られてしまいます。直接的に「迷惑なんだよね」と言ってくる人がいることもあります。ミスをし始めると、萎縮したり仕事が怖くなったりして、さらにミスが起きやすくなります。
ADHDの人が仕事で失敗しフリーランスになるまでの流れ
- ミスをする
- 他人に迷惑をかけてしまったと自責の念に駆られる
- 罪悪感が膨らむ
- メンタルが弱っていく
- ミスを恐れるが、また別のミスをする
- 周囲の人が嫌な顔をし始める
- 最初に戻る
という具合にループします。
物覚えが悪かったりするとさらにミスの頻度があがります。
「ミスしないようにしよう」「わからないことはできるだけ先輩や同僚に確認しよう」という思いと、
「何度も同じことを聞くな」「少しは自分で考えろ」と言われる怖さの間で気持ちが揺れ、「自分で考えた結果、ミスをした」ということも起こります。
最終的には、ミスを恐れ、人に迷惑をかけることを恐れ、仕事を退職してしまうのです。
そして、できるだけ人に関わらない仕事を求め始めます。
「1人でできる仕事ってなんだろう?」
「どんな職種だろう?」
と。
しかし、そんな仕事はなかなかありません。
企業の中で働くということは、誰かと一緒には働くということとほぼ同義だからです。だったら、一人で仕事しよう・・・となってフリーランスになるのです。
フリーランスってどんな仕事?
ADHDの人に向いているフリーランスの仕事として紹介されがちなものは
- ライター
- プログラマー
- デザイナー
- イラストレーター
などが挙げられます。
ADHDのフリーランスの仕事として紹介されがちなウェブ系ライターの単価
多く紹介されているのはライターでしょうか。日本語で言えば記事の執筆です。たしかに、ウェブ記事の執筆の仕事はインターネット上にゴロゴロ転がっています。ただ、ライターは誰でもできると思われているのか非常に単価が安いです。ランサーズとかでライター系の仕事を探すと、1記事500円とかザラです。調べればわかりますが1記事100円なんて募集もあります。1時間かけて書いた記事が500円なら、時給は500円です。
自分が経験していることや非常に詳しい分野であって、必要とされる文字数が少なければそれくらいの時間で記事が書けるかもしれませんが、クオリティの高い記事を調べながら書こうとすれば、もっと時間がかかります。
じゃあ、というわけでコピペで記事を作る人がいますが、あれはダメです。一瞬で信用を失います。最悪の場合、損害賠償だなんだの話になります。
フリーランスで最も大切な仕事を取ってくることと、単価を上げること
フリーランスで最も大変なのは、仕事の確保です。
そして、仕事の単価(報酬)を上げることです。
ライター系の仕事は、単発で仕事をしても継続収入には結びつきません。継続して仕事をしようと思えば、クオリティの高い記事を書く必要があります。そうして実績と信頼を積みかねないと単価は上がりません。
また、単価を高めるためには単発の仕事ではなく、プロジェクト型の仕事を受けるようにすることです。
こんなものがありました。
最初は、稼ぐコツなど何もわからない。とりあえず、すぐ取り組めるタスクを行なった。最初は1記事100円以下といったものも多く受けた。それでも、アルバイトの時給分くらいは稼ぐことが出来る。嫌味を言われながら、健常者たちと仕事をするよりははるかにマシだった。
1ヶ月くらいたったころから、プロジェクトを通して仕事をすることで、タスクよりもはるかに高い報酬が得られることが分かった。それからは、プロジェクトばかりをこなしている。開始1ヶ月目の収入は約70,000円だったが、仕事をこなして実績を積み重ねるうちに、仕事は取りやすくなったし、案件ごとの単価も上がっていった。
6ヶ月目で当初の目標としていた月収20万円を稼ぎ、10ヶ月目で月収45万円を突破。発達障がい者であることのコンプレックスは、完全に払拭された。
苦労したことと言えば、実績を積み重ねることだ。顔の見えないクラウドソーシングでは、実績こそが信頼につながる。とにかく実績を積み重ねるために、睡眠時間を3時間に削って毎日15時間働き、これを年中無休で2年間継続した。土日祝日、盆・正月も休むことがなかった。文章を取ったら僕には何も残らないのだから、プライドを持って、心を込めて、最大限の努力を払った。
私は休みなくこんなに働くなんて無理ですし、これを企業でやったら完全にブラック企業ですので、適度に休んだ方が良いとは思います。
ただ、実績と信頼が大事であることは全く否定しません。
興味がある人はやってみましょう。ただ、ライターするならコピペ記事だけはやめましょう。ホント、マジで。
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おまけ、というか本編以上に長くなってしまいましたがフリーランスの人たちの仕事事情を調べましたので紹介します。ただし発達障害の人に特化した調査結果ではありませんのでご注意ください。
フリーランスの人の年収・労働時間などの調査データ
フリーランスで心配となるのが収入がどのくらい稼げるのかですよね。
上記の人は月45万とのことで年間にすれば45万×12ヶ月で約540万円の収入です。年収540万円のフリーランス。これが一般的なのかどうなのか。
経済産業省が「平成27年度 小規模事業者等の事業活動に関する調査に係る委託事業」というものを公開しています。その中には、フリーランスの人たちの情報がたんまり。ここから情報を抜粋してみましょう。有効回答数は1300ありますので結構信頼性のある調査だと思われます。
フリーランスの年収で多いのは100万円未満の人。
フリーランスの70%が年収400万未満
まずは年収です。ドン。
100万以下が21.5%で最多です。400万円以下で約70%を占めます。
上記の540万円の人は、相当上位クラスに位置することがわかります。
ただ、300万円以上と未満で区切ると約57%くらいが300万円以上となります。
つまり残りの43%ほどは300万円以上です。
いや、待てよ、この人達はフリーランスが主業(本業)なのか?
副業でやっているのか、どっちなんだ?
これは、85%の人がフリーランスが「主業である(副業じゃない)」と答えています。
副業であれば、本業の収入+フリーランス収入となりますが、そうじゃないのです。
主業がフリーランスで年収100万円なら、全部でせいぜい年収100万円ちょっとでしょう。
コレは辛い・・・実家住みでないと生きていけないレベルに思います。
フリーランスの労働時間
次に労働時間を見てみます。
んー。微妙!!
週に10時間未満が最多です。これなら年収100万円以下でも納得です。個別の回答データをプロットして、労働時間と年収の関係を調べたいところ。
フリーランスの人の職種は?
調査に答えた人たちの職種がこちらです。
「その他」の次に多いのがデザイナーで、次がシステム系です。おそらくプログラマ関係かな?ライター系は3番目ですね。
メール・メッセージのやりとりで済みそうなものは大抵ランサーズとかのクラウドソーシングにありますね。クラウドソーシング系のサービスがフリーランスの支えになってる様子もうかがえます。
フリーランスになったきっかけは?
この調査そのものは、ADHDの人を対象として行われたものではありません。
そのことが如実にあらわれているのがこちら。
となっています。
「必要に迫られてフリーランスになった」が約30%です。
ADHDでフリーランスになる人の多くは、2番の方でしょう。
それはきっかけの詳細を見てもわかります。
2,4,5,6あたりが発達障害の人が該当しそうな項目ですね。
この人達だけに絞ってデータを取りたい。自分からフリーランスになった人と、追い込まれて必要性に迫られてフリーランスになった人では、収入面とか全然違うと思うのですよ。
ただ、調査元にデータくれませんか?と問い合わせたら回答がありません。まあ当然といえば当然かもしれませんが。
フリーランスの仕事の獲得状況
フリーランスの人たちが仕事がどのくらい埋まっているのかの状況です。
年収と比較するともっと「獲得できてない」側が多いのかなと思ったのですが、コレは以外な印象でした。
フリーランスの仕事の探し方・仕事の受注方法
フリーランスで一番困るのが仕事をどうやって受注するかでしょう。
仕事は勝手には湧いてきません。
上司がいないので、上司に指示されることもないですが、仕事が振ってくることもありません。
自分で仕事を差がないといけません。
ではどうやって仕事を探しているのか、それがこちら。
1位は知人・同業者からの紹介で55%もあります。
2位は自分からの営業で50%
3位以降は1桁台ばかりです。
つまり、ほとんどが誰かの紹介か自分からの営業ですね。
以上で調査情報は終わりです。
フリーランスの特性を活かして、自分の適職を探ろう
冒頭ではライター職の例をご紹介しましたが、フリーランスというのは、言い方を変えれば単発のバイトとも言えます。
世間的に言えば無職に近いかもしれません。(気の持ちよう次第)
これは決してネガティブなものではなく、就職→退職→就職→退職→就職→退職と繰り返す必要がなく、履歴書が「一身上の都合により退職」で埋まることがなくなります。
この間にすべきことは、色んな仕事をしてみて自分に合った仕事を探すことです。
上記で紹介したような
- ライター
- プログラマー
- デザイナー
- イラストレーター
に限った話ではありません。
フリーランスの人の調査内容で挙げられていた職種も参考にしてみましょう。
フリーランスで適職を探す
そして、興味が持てた仕事ならどんな仕事でも良いので色々やってみましょう。え?単なるバイトと変わらない?
いや「便利屋」として独立したと考えてみれば良いのではないでしょうか。名称なんてなんでも良いじゃないですか。
履歴書には「フリーランスとして活動」とでも書いておけば良いです。
この間に、自分に合う仕事、楽しめる仕事、苦にならない仕事を探してみましょう。
実績もなにもなく、同業者や頼れる友人もいないなら、ランサーズとかで小さな実績を積み重ねていくのも良いです。
ただ、タスク型の単発仕事ばかりで満足せず、早々にプロジェクト形式の仕事をしてみるように努力してください。
フリーランスは自分に合わせた仕事の環境を作れることが大きなメリット。ADHDなら特に!!
受注した仕事のうち、継続して仕事が来ないものであれば「この仕事は向いてない」として、受託対象の仕事から外します。
楽しめる、上手くやっていけそうだと感じる仕事なら、継続して仕事を探します。
そして、仕事をする中で「これは大変だった」「上手く行かなかった」ということがあったら、なぜそうなったのかの理由を探ります。
- 締切がきつすぎて間に合わなかった
- 一緒に仕事をした人がADHDに理解がない人だった
- 単価が安すぎて疲弊した
- 得意な仕事以外を振られて困った
- 資料を作成したら誤字脱字だらけだった
「ADHDだから仕方ない」で一括りにして終わりにせず、できるだけ細かく。
これらのうち、解消できそうなものとそうでないものを仕分けします。
解消できそうでないものについては、次から仕事の対象から外すか、受託時に条件をつけましょう。
- 締切がきつすぎて間に合わなかった
→改善策:締切がきつい仕事は受けない。もしくは長めに締切を設ける - 一緒に仕事をした人がADHDに理解がない人だった
→改善策:どれだけ単価が高くても次回からは仕事は受けない - 単価が安すぎて疲弊した
→改善策:一定単価以下は受注しない。もしもの事があることを想定した金額で受注する。 - 得意な仕事以外を振られて困った
→改善策:「あ、そのお仕事はうちではやっていないんです。すいません。」で断る - 資料を作成したら誤字脱字だらけだった
→改善策:妻や恋人や家族などがいるなら誰かにチェックしてもらうなどする。
などなどです。
フリーランスの大きなメリットは、サラリーマンの大きな違って自分で自分にあう仕事環境が作れることです。
ADHDなど発達障害持ちなら特にそうです。
相手に言われたとおりに受けるだけでは、会社組織に属して仕事しているときと変わりません。
得意なことを存分に活かせるように仕事環境を変えて行くのです。
フリーランスの仕事の一つは「仕事を断る」ことです。なんでもかんでもホイホイと仕事を受けてはいけません。
上記の調査の項目の中に「フリーランスとして営んでいる事業の裁量」というものがありました。
高い、やや高いと答えている人は全体のうち40%ほど。
この人たちは、自分の働きやすい環境づくりに成功していると思われます。
この方々はフリーランスになって正解でしょうね。
もしもADHDの人でフリーランスになることを考えているのなら、こうした点に注意して考えてみましょう。
ADHDの人がフリーランスとして働く際の最後の注意点
ここまでたっぷり書いたので3つだけ書いておきます。
- 勉強を続けよう
- 締め切りを守ろう
- ちゃんと確定申告しよう
勉強は好きなことであれば続けられるでしょう。楽をしようとしすぎないことです。
あと、ADHDの人は先延ばし癖がありますので、締め切りはしっかり守るようにしましょう。どれだけクオリティの高い仕事をしても、締め切りを守れないと信用を失うことになります。絶対守りましょう!間に合わないと思ったら、そのタイミングで相談です。
最後は、ちゃんと確定申告をすること。自分で収入を得るということは税金も自分で払うということです。年間20万円以上収入があったら副業でもちゃんと申告しないといけません。ハイパーウルトラめんどくさくて、細かい事務作業なのでADHDの人の苦手とする分野ですが、サボると税務署の怖い人が追徴課税をお土産に連絡してきます。お気をつけて。
フリーランスをしてる人たちのお仕事経験談
併せてご覧ください。